労働基準法の基礎知識/採用時の労働条件の明示
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社員を採用するにあたり、会社は社員に対して、賃金や労働時間等の所定の事項について明示することが義務付けされています。
この労働条件の明示の対象は正社員だけではなくパート・アルバイト等も含まれます。
これは労働契約(雇用契約)を締結する際に、労働条件を確認するために再度、要求されているものであり、社員の募集時に各種の労働条件を提示したからと言って、この労働契約締結時の労働条件の明示を省略することは出来ません。
明示する労働条件の項目
明示する内容は、労働基準法において次のように定められています
必ず明示しなければならない事項
●労働契約の期間(契約期間の定めがない場合はその旨)
●就業の場所及び従事する業務
●始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、社員を2組以上に分けて就業させる場合の作業転換に関する事項
●賃金の決定、計算・支払の方法、締切り、支払の時期、昇給に関する事項
●退職に関する事項(解雇の事由を含む)
制度がある場合に明示しなければならない事項
●退職手当の定めが適用される社員の範囲、退職手当の決定、計算、支払の方法、 支払いの時期に関する事項
●臨時に支払われる賃金、賞与、1ヶ月を超える期間で支払われる賃金、最低賃金額
●社員に負担させる食費、作業用品に関する事項
●安全衛生
●職業訓練
●災害補償、業務外の傷病扶助
●表彰・制裁
●休職
これらの項目のうち、「必ず明示しなければならない事項」については、必ず書面で交付しなければならないとされています。
書面を明示する方法については特に定められておらず、採用した社員に対し、明示する事項の該当部分を明確にして就業規則を交付すること等でも差し支えありません。 ただし、メール等による明示は認められず、文書の交付であることが必要です。
有期雇用・パートタイム雇用契約の注意事項
契約社員やパート・アルバイトなど、労働契約の期間が定められている労働者に対しては、期間満了後の契約更新の有無、更新する場合があるときには、契約更新する場合またはしない場合の基準を明示しなければなりません。
また、パートタイム労働法の改正により、平成20年4月1日よりパートタイム労働者の雇入れにあたっては、「必ず明示しなければならない事項」に加え「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」について文書により明示・交付することとなりました。
これらパート・アルバイトの昇給、退職金、賞与といった制度が有る場合には、その支給基準や時期などの項目についても、明示した文書を交付するように努めること、とされています。
事前にトラブルを防止することが重要です
会社と社員は、、労働条件をきちんと確認しておくことで、労働条件が明確でないために起こすトラブルを未然に防止することができます。
上記の書面の交付が必要でない項目や、上記に例示されていない項目(例えば社会保険への加入など)も、後々トラブルの原因となりそうなものについては、書面の交付によって明示しておくべきです。(ただし、労働者の労働契約の不履行に対し、使用者があらかじめ違約金・損害賠償の額を定めること、あるいは労働することを条件とする前借金と賃金との相殺を使用者が定めることは禁止です)
なお、明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
また、そのことにより就業のため転居した社員が14日以内に帰郷する場合は、使用者は旅費等を負担しなければなりません。
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