労働基準法の基礎知識/賃金
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賃金については、賃金支払いの原則、時間外勤務、休日出勤の割増賃金の基礎となる賃金についてご説明致します。
詳しくは当事務所別サイト
給与計算サポートデスク
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賃金支払の原則
賃金支払については、「賃金支払の5原則」があります。
「賃金支払の5原則」とは、
●通貨で
●直接本人に
●全額を
●毎月1回以上
●一定期日に
支払うこと、と決められています。
「通貨で」とは、現物での支払いは原則禁止ということです(労働組合との労働協約がある場合は例外です)。
なお、給与を銀行振込する場合、本人の同意が必要で、本人名義(家族は不可)の口座に、賃金支払日に払い出しが可能であることが必要です。
「直接本人に」とは、本人以外の代理人や債権者への支払が禁止されています。
ただし、社員の子などが本人の指示により、「使者」として本人の印鑑を持参して本人名義で受け取りに来る場合は問題になりません。
「全額を」とは、所得税の源泉徴収や社会保険料の控除は、法令により事業主に徴収・納付の義務があるため、控除することはこれに当たらず、逆に事業主の義務と言うことになります。
給食費や社員同好会の費用などを徴収する場合は、社員の過半数代表者と賃金控除に関する労使協定の書面での締結が必要となります。
「毎月1回以上」とは、年俸制であっても毎月1回は支払いを必要とします。 (賞与はこの定めにあたりません)
「一定期日に」とは、「一定期日」は暦日で定める必要があります。
「第4週の金曜日」といった曜日の指定では毎月の支払日が変動するため、これに該当しません。
なお、賃金支払に関して、社内規則における罰則として、例えば「遅刻1回で1,000円の減給」のように減給制裁を決めている場合、労働基準法によると制裁の額について、「1回の額が平均賃金の1日分の半額以内、総額が1賃金支払日における賃金総額の10分の1以内」と決められていますので、注意が必要です。(ただし、遅刻・欠勤した時間分の賃金カットは「ノーワーク・ノーペイの原則」により違法になりません。)
割増賃金の計算の基礎となる賃金
労働基準法には、法定時間外労働や法定休日労働、深夜労働(午後10:00~翌午前5:00)に対して、1時間あたりの賃金に一定の割増率を加算した割増賃金を支給すること、と定めています。
割増率は、法定時間外労働の場合が25%以上、法定休日出勤の場合が35%以上、深夜労働の場合が25%以上と定められています。
条件が重複する場合、法定時間外かつ深夜労働の場合には50%の割増賃金、法定休日労働かつ深夜労働の場合には60%の割増賃金となります。
なお、法定休日の出勤で残業が発生した場合には、割増率は重複せず、35%のままとなります。
この割増賃金を計算する際に、次の項目の賃金は計算の基礎から除きます。
●家族手当
●通勤手当
●別居手当
●子女教育手当
●住宅手当
●臨時に支払われた賃金
●1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
これらの賃金は、名称ではなく内容によって判断されます。
この中でも特に注意を要するのは、家族手当、通勤手当、住宅手当です。
これらの手当が割増賃金の計算上除外を認められる要件とは、扶養家族の数や通勤距離、家賃・住宅ローンの額に応じて支払われているものであることで、これらに関わりなく一律定額で支給されている場合などは計算からの除外が認められません。
※労働基準法が平成22年4月1日より 一部改正されています。(詳しくはお問い合わせください)
●1か月60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が、現行の25%から50%に 引き上げられます。(注1)
● ただし、中小企業については、当分の間、法定割増賃金率の引上げは猶予されます。(注2)
(注1) 割増賃金率の引上げは、時間外労働が対象です。休日労働(35%)と深夜労働(25%)の割増賃金率は、変更ありません。
(注2) 中小企業の割増賃金率については、施行から3年経過後に改めて検討することとされています。
社会保険の保険料との関係
最低賃金法も注意が必要です
最低賃金法が改正され、平成20年7月1日から施行されています。
使用者は、国が定める最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者と使用者の合意により定めたとしても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとされます。
・最低賃金には、地域別最低賃金(産業や職業に関わりなく、都道府県のすべての労働者に適用されるもの)と特定最低賃金(特定の産業及び職業の労働者に適用されるものがあり、現在は産業別最低賃金のみが設定されています。)があります。
・最低賃金は、(1)労働者の生計費、(2)労働者の賃金、(3)通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して都道府県ごとに決定されます。なお、労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとされています。
・なお、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(罰金:上限50万円)が定められています。
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